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2017年10月22日日曜日

カヌースラローム競技とマーケティング、パブリシティについての所感

9/26〜10/2で、フランス・ポーにて開催された、カヌースラローム・ワイルドウォータースプリントの世界選手権に日本カヌー連盟派遣の視察員として行ってきました。
目的は、2020年東京オリンピック競技運営の参考とするためです。
(唐突ですが、今夏から関係者になりました。えっと、サラリーマンも続けさせてもらえています。)

今回の世界選手権では、初の試みとして、大会の開催の裏側を公式に視察できる、ICF 主催のObservers' Programが企画されており、このプログラムに参加することができました。
Obsevers' Programの一コマ

このプログラムでは、技術的な大会運営だけでなく、大会予算やマーケティング、パブリシティなどのICF の考えと、今大会で実施されたことをセミナー形式、現場視察両方で聴くことができました。
視察での私の担当範囲は、集計セクションの動向やシステムの調査でした。
この部分の正式な報告書は事実軸で書いて日本カヌー連盟に提出しているので、ここには、感想や想像を交えた、思ったことを書いておこうと思います。

色々と専門ではない分野にも感想や提言めいたものも書いていますが、基本的に個人的なブログで個人的なことを書く場なので、ある程度の思い込みは織り込みつつ、こういう見方をする人もいるのねー、くらいでとらえて読んでいただけると幸いです。


■大会運営
競技特有の技術面(審判のレベルとか)はさておくと、日本の大会運営レベルは低くない感じがしました。(やたら卑下するような言動があるように感じるのは気のせい?不当に低い自己評価は発展を阻害すると思うのでよくない気が。)
国内大会と国際試合の、しかも世界で一番のタイトルがかかる試合とを直接比較はできません。予算が違うので、用意できるスタッフの全体的な技量が全然違います。野球で言えば甲子園と県予選くらいの予算の差があるのではなかろうかと。

ボランティアや行政含めて言えば、準備にかける期間も関係者数も、世界選手権と国体はほぼ同じくらいかも。
ちなみに、同じ時間・お金・人をかけても世界選手権と国体は同じものになりません。目的が違うんだから(WCHはその年の世界最速を決めること、国体はスポーツ振興が目的)。この辺りツッコむ人がいそうな気がしたので、予防線張っときます。

スタッフだけでなく、報道、観客など、「来てくれる人」全般に対してのホスピタリティは非常に重要視していました。(ボランティアの方にはまた手伝ってもらいたいからね。)
わかりやすいところでは、スタッフ全体の食事は食事用ラウンジでビュッフェだったり、(好きなものだけたくさんいただきました)VIPラウンジも別であって、ここではお酒にオードブルの提供があり(視察中は飲めなかったけど)、あちらこちらでコーヒーマシンがあって挽きたてコーヒーが飲み放題、お菓子が摘み放題だったり。(観客向けは有料です。)
VIPラウンジからの眺め
スタッフ用食事ラウンジ。奥がビュッフェです。

コーヒーマシンとお菓子。お世話になりました。
お菓子とフルーツをたくさんいただきました。

■集客システム
人の集め方はシーカヤックの大会に考え方です。伊豆や奄美のシーカヤックマラソンの会場の雰囲気はこんな感じだったかな。
それでもまだまだ追いついていませんが、コンサートや環境教育プログラム、カヤックVR体験など、まずは人に来てもらうための工夫が随所に見られます。(そしてカヌーに興味持ってね→ぜひ趣味にしてね→カヌー人口増加!…という目論見。)
カヤックバーチャル体験中
お子様向けミニ遊園地、川を使ったアスレチックも登場
夜は観客エリアのステージ(写真右手)で野外ライブ。

観客動員数、メディア動員数、ボランティア動員数などにKGIが設定されていました。本来はこれらはKPIであるべきで、KGIは算出手法を明確にした上での直接・間接経済効果金額であるべきでしょう。(開催地に対しての、とするか、連盟に対しての、とするか、主催者に対しての、どこへの経済効果するべきかも課題としてありますが。)
そこまでやるのはめちゃくちゃハードル高いのですが。

国内大会だと、毎年同じ場所で開催する大会が多いため、年単位で定点観測してPDCAを回すことができそうです。指標を導入すると目標ができて、活動の改善がしやすいかと(手段が目的になるという弊害もありますが)…でも、そんなことをするとプロのマーケティングディレクターが要りますが…あっでもちゃんとした人を雇った方が変わるきっかけになるかも…でもまともな指標を立てられるディレクターかどうかの見極めが難しいか…。(なかなか初めからに先立つ物、もしくは振れる袖を用意するのが大変ですが。)

今後、少子化によってスポーツの分野も、身体能力の高い子供の取り合いになって行くでしょう。また、今後財政的にも補助金(税金)にどこまで頼っていけるかは微妙なところです。
そんな中、スポンサーは人が集まるところ、(いろんな意味での)リターンが得られるところにしかお金をだしません(社会貢献だとしても)。
そう考えると、競技の品位、レベルを損なわない範囲(これを読み違えると競技そのもののコアコンピタンスに悪い影響が…)で、ブランディング、マーケティング、ロビイングができる、経営的、経済的感覚を持った人材による組織・大会運営が必要になってきそうだなー、というのは視察を通して強く感じました。

日本では、選手の育成など草の根活動が得意な方が多く、実際活動されていて、これはこれで不可欠な活動だし、行政に対して動ける人はいて、これもこれで大事な活動ですが、経営視点、収益視点で動ける人も競技全体のマネジメントに不可欠な要素だと思っています。

難しいのは、往々にして、草の根の人と手続きの人とPR上手の3種の人は相性が良くないというところです。国内のカヌースラロームの場合、まだまだアマチュアリズムというか、経済観念に否定的なところがあるようにも見受けられますが(スポーツで儲ける気か、的な)、そのスポーツに関わって生活できる人の数と、そのスポーツの全体的な国際レベル、国内の認知度は相関関係がありそうな気がします。(身も蓋もない言い方をすると、儲かる・少なくとも将来食い扶持がありそうなスポーツの方が良い選手、良い人材を集めやすい)

どんどん突っ込んで考えて行くと、現在自分も含めボランティアで大会を運営、開催する意義ってなんだったけ?ってかお前、今のやり方は稚拙だって言いたいわけ?オラオラ、的な話になりかねませんが、良い意味で、この競技もそいういうことを考えなきゃいけないレベルにきているのかなー、と思っています。
(この辺もツッコミ入りそうな気がしたので予防線張っときます。)

ちなみに、ICFは、HeadQuarter(運営本部)スタッフ(うーん、行政組織でいうところの官僚に当たるスタッフかな?)がここ数年で変わったこともあり、他のスポーツに比べてブランディングやマーケティングが著しく遅れている、ということに非常な危機感を抱いて改善・改革を進めているようでした。

この話はつきませんが今回はここまでで。


■日本選手
男子は世界の中でも相対的にレベルが上がっている感触を受けました。
決勝や入賞が射程圏内に入っている選手が何人かいるのは嬉しいことです。世界選手権で決勝に残ったのが羽根田選手のみというのは、経験値の差かなとも思いました。

女子は世界のレベルアップについていけていない感じを受けています。
フィジカル面が急に変わることはそうないので、技術面なのかな…
もしかすると、技術の進歩に合わせて求められるフィジカルも変わると思うので、その対応に追いつけていないかもしれません。
闇雲に頑張るんじゃなくていろんな意味でよーく戦略を練るんだ!…と陰ながらエールを送ります。

試合のタイムがだいぶ短くなったし、ゲートセットの難易度も上がっているので、これらに見合った技術が実現できる身体能力というのも、自分が現役だった頃とは変わってきているんだろうと生で見て強く感じました。


さてさて、長くなりましたのでこの辺で。

視察で一番思ったこと。


あまり大きな声では言えませんが…






俺も漕ぎてぇーーーー!!


あー、一番言いたかったことを言えた(書けた?)ので、
スッキリしました。

長文にお付き合いいただき、ありがとうございました。