1週間ほどお休みをいただいて、息子と瀬戸内海を漕いできました。
父ちゃんは有給、息子は小学校お休みです。
島伝いに1日10kmから15km漕ぎ、夜はキャンプ場、オープン前の海水浴場、無人の浜でキャンプして5日間ほど瀬戸内海を漂ってきました。
息子が小学校6年生になったら、子供にはちょっと長めの「旅」のようなことをしようと数年前から温めてきたので、ようやく決行の時が来ました。
中学生になると、部活だのなんだので自分の世界ができてしまう(できないと困る)ので、6年生が子供過ぎず大人すぎずでちょうど良い時期かな、と思っています。
電車を乗り継いで、岡山県玉野市の宇野駅に到着。先に宅急便で送っておいた荷物を回収し、買い出しを行い、海辺のキャンプ場へ。翌日の出発に備えます。
使用したカヤックはフェザークラフトK2。息子はバウマン。バウ側がどうしても浮き気味になるので、前半分に重い荷物をできるだけ乗せて、風や潮に煽られないようにセッティングしました。
初日は宇野港の端から出発。初日は後半に潮の流れの早い箇所があるので、様子を見つつ進みます。
港口に大きな船が止まっていると思うと、フランス国旗を掲げたクルーズ船らしき船が。
それほど大きくない港町にしてはフランス語をよく耳にすると思ったら、ここから皆さん降りてきていたんですね。
2人艇は大人2人で漕ぐと1人艇の1.3倍くらいのスピードが出ますが、1人で漕ぐと0.6倍ほど、子供は大人の50%も漕力にならないので、1人艇の80%くらいの巡航速度を想定して行程を組み立てました。
また、体力的にも漕ぐ時間も大人の半分程度です。
初日の1番の難所、井島水道横断。6月の大潮は年で一番潮汐差が大きいので、年で一番流れているはずです。井島の南端から豊島に向かって横断をしたのですが、漕ぐスピードと同じくらいの速度で流され、あっという間に豊島の北側まで着いてしまいました。
ここで、大きな川のエディーラインのようにうねる潮目に遭遇。
三角波がバウデッキを洗い、6mの艇がグラグラと動揺します。
川で波立つ水面に慣れている息子は平気で、それどころかバンザイして奇声をあげて喜ぶ始末で、漕がないと流されるだろ、ちゃんと波を抜けるまで漕げ、と叱咤激励しつつ、潮目を漕ぎぬけました。
この後もいくつもの潮目や潮流でできる波に遭遇しますが、初日の難関を乗り越えると、体が海のリズムになじみ、今回の旅のペースが掴めてきました。
上陸してからは、天気が悪くない限り上陸地周りの散策しました。
息子は生き物にあまり興味がなく、釣りをしたりはしないのですが、散歩が好きなので、上陸してひと段落したらひと段落、天気が良い日は小一時間、うろうろとあちこちを見て回りました。
普段生活している町と、瀬戸内海の島ではだいぶ雰囲気が違うらしくズンズン歩いて先を見たがっていました。
ただし、開館時間に間に合わず入れずじまい。
キャンプといえば焚き火なのですが、今回は雨もあり1度しかできませんでしたが、無人の浜で心ゆくまで楽しめたようです。
先客が残した炭をぜーんぶ白い灰にするまで、燃やして堪能し尽くしました。
2日目の難所は、豊島と鹿島の間で、時折フェリーが往来しています。
大人同士のツアーとは異なり、スピードが出ないので船が見えてから対処していては対応が遅すぎる可能性があります。時間が近いフェリーをやり過ごしてから、遠くにも船影がないか気を遣いながら島を渡りました。
海況も心配でしたが、大人よりも動きが鈍くなる分船をどう避けるかをかなり心配していましたが、焦らず行けば無用にビビる必要がないことがわかり、一安心です。
先にもいくつか湾を横断しなくてはならないので、渡る時に考えるべきコツを掴めたようでした。
準備日と撤収日を入れて6日間のうち、2日は雨に降られました。
それでも、2日とも降り出しが午前遅く、翌日には止んで天気が回復したので、濡れ鼠で一日過ごすようなこともなく、雨もまた良し、的な気分でいられました。
ところが最終日はただの雨ではなく、低気圧が近づいてくる予報で、風も強くなる見込みでした。そのため、最終日はいつもよりも1時間早く出発。終日向かい風。思っていたよりも進まなかったのが向かい風で、向かい風の日は、息子も1日漕いでくれたのですがそれでも1人艇の時の70%くらいの巡航速度でした。
風がそれなりに強いため、直線的に目的地に向かうのではなく湾に沿って漕いだりしつつも、13時前には最終目的地に到着。
浜について、早々にテントとタープを張ると、早速雨が降ってきました。
低気圧本体が近づいているようで、ボツボツと大きな雨粒がタープを叩く音に包まれました。
そんな中、息子は読書、大人は雨でも眺めながら余裕でコーヒーを淹れて飲んでいると、今度は風向きが変わったせいで、海から強風が吹いてきました。
テントはびくともしませんでしたが、タープは砂地用のペグに負担がかかりすぎるようで、風に負けて引き抜かれてあえなく倒壊。
飛ばされないように丸めて荷物に押し込み、テントの中に逃げ込みました。
そんなこんなで最後の焚き火も出来ず、テントの中で炊事&夕食。
夜が更けてくると、低気圧が遠のいたのか風も収まり、静かな最後の夜を過ごせました。
翌朝、後ろ髪を引かれつつも撤収し、帰路につきました。
帰りは小豆島から神戸までのフェリー。
息子は大きな動力船に乗るのが初めてで、大いに満喫したようでした。
この後、息子の乗り鉄熱が爆発し、新幹線では帰らず普段は乗れない私鉄の急行を使って帰るなど、身一つで海を楽しんだ後は文明の利器も味わい尽くして1週間を終えました。
…船と電車旅で、それまでのカヤック&キャンプの印象が薄れていないか父は大変危惧しています。。。
息子とサシで一週間いることはなかなかないので、面白い体験ができました。
息子の成長した姿が、とか、今後の人生について、といったいわゆる旅で一皮剥けた系の何かがあったわけではありませんが、なんとなく、子供っぽい行動の中にも時折しっかりしているところが見え隠れして、自分の子供がこれから少年になっていくんだなー、と感じさせる1週間でした。
父親かつ大人の一シーカヤッカー的にはもっと長く遠くまで見知らぬ海をガツンと長旅がしたかったのですが、家庭や会社の都合も考えると、これくらいの期間と距離が限界だったのかな、と思っています。
息子については、一緒にいるとついつい面倒を見過ぎてしまうので、いい感じで放置しつつ、ちょっと構いつつでこの後の中高生6年間過ごして、それなりの青年に成長して、自分がしたいこと見つけてできるようになってくれればと願っています。なかなかうまくはいかんけど。
今回の旅では、いろいろな方にお世話になりました。
キャンプしている父子を暖かく(?)見守るまたは放置しておいてくれた地元の皆さん、春先に下見ツアーと称してこの界隈を漕ぎに来た時に同行してくれたカヤック仲間の皆さん、フィールド選定のヒントを含め、さまざまな情報を提供してくれたグランストリーム大瀬さん、ありがとうございました。
最後に、留守を守ってくれた妻と娘、父母にも感謝します。