Pages - Menu

2013年12月21日土曜日

海旅と刀


この時の交流会と称した、刀鍛冶の友人との呑み会のまとめ。彼はこの夏〜秋に2ヶ月ほど渡米して、刀鍛冶のデモンストレーションや講演、技術交流を行ってきました。ナイフ職人や鉄工芸作家、大学の先生、などなどの鉄刃物関係のアメリカ人と交流してきた話を、酒をちびちびしながら拝聴し、こちらも好き勝手好きなことを合いの手で話すという会を開いてきました。(よーするに、久々なんで呑もまいか、そうしよまいか、という話になったということ。)


酒の肴の与太話概略。
・刀鍛冶として渡米して感じたこと。
   →とそれに纏わるやりとりをカッコつけてまとめたのが以下の◼︎の内容。
 (カッコつけてないとグダグダにクダ巻いていたのがバレる。むしろ、バレバレ?)
サバニの話
・古代のヒスイや黒曜石の流通について
ケネウィック人について
・ネイティブ・アメリカンと縄文人のつながり
・俺らもう中年
・そろそろしたいことしぼってしないと寿命足りないかも?
・60代以降で人生の代表作を作る秘訣(予想もしくは妄想だけど)
・また釣り&カヌーするか!
・来年なにするの?どこいくの?


◼︎西洋のナイフと、刀の造り方の違い。
刀のクオリティは海外からも評価が高いが、全て感覚で作られていることに大変驚かれたとのこと。(計測・計量というプロセスはない。そんなもん見ただけ触れただけ嗅いだだけ感じただけで見切れんかい!っていうのが日本の職人の姿&凄さだと思うのだが)

産業界でも数値化できない職人技があるあたり、機械を凌ぐ人間の感覚を引き出す文化的な仕掛けが日本語と日本語から成り立つ文化にあるのではないか?


◼︎西洋には騎士道があり、日本の武士道(と仮に大雑把に言う。「葉隠」「死ぬこととみつけたり」あたりを想像していただければ)に相当するのだろうが、剣術に相当する技術は聞かない。剣道に対するフェンシングはあるのだが。(誰か詳細知りませんか?)

日本には、柔道、合気道、空手(これは琉球だが)など、2軸、無捻転な体の使い方を基本とする武道ばかり。農作業、飛脚、日本舞踊も体の使い方の原理は同じ。華奢な体格な人間が多い国だから、人間が出せる力を最大限にするような所作、動作が洗練されたのだろうか?


◼︎MIT(マサチューセッツ工科大学)の地下には鍛治場がある。MITの教授曰く「最新の技術は、過去の技術があって成り立つ。過去の技術を喪った時点で、最新の技術も本質を喪う。」

後世になればなるほど、根源的な事柄について、新しい発想が生まれる余地が減るのではないか?哲学が古代ギリシャで完成してしまったのが良い例。
昨今はドッグイヤーとも言われ、技術革新もめざましいが、表層の現象のみを活用、加工、さらに2次加工3次加工しているにすぎないのではないか?様々な事柄が複雑化してきたせいか、由来と根源を喪って宗教的、哲学的、倫理的には漂流している事柄事案現象が多い気がしないか?


◼︎刀の製法は千年以上の歴史があり、自分が思いつくようなことは先人達にやりつくされていた。ただ、刀鍛冶自身が外国に行けるような環境はここ数十年のことなので、この辺りに自分の世代の役割があるのではないか?

20世紀が科学の世紀であったならば、21世紀に入ってからは身体感覚、皮膚感覚をとりもどそうという動きを許容する空気を感じる。
科学=理論詰め、への反発なのかやはり人間には理解出来ないものへの畏怖が残っていたのか?反発というよりは、便利になったものはツールとしてうまく使いつつ、自然体の人間の糧にしていくにはどうしたら良いかの模索を始めているような印象を受ける。100年以上前にも同じような思想があったが、きっと産業革命以降の人類にとっては永遠のテーマなのだろう。
とはいえ、そんなこと思っても見たことがない人も多数のはず。むしろ、そんなこと思っても見たことがない人の方が多いはずで、故に本になったりするんですね。
自然体の人間、動物としての人間を確認し、折り合いをつけようとする人と、これまで以上に理詰めに進む人、その間で戸惑う人に別れてきているように見える。価値感の多様化と言われるが、大枠この3つに分けられてしまい、多様と言えるほどの多様性はないのでは?


・・・と、こうまとめると熱い&堅そう&青臭い話をしてたようですが、実態の90%はたわいもない話。まともそうな部分だけ抽出してみました。とはいえ、お互い好きなことを好きなように酔っぱらって話しているので、あんまりかみ合っていないところもあるし、質問に質問で返した上に質問でだめ押ししているし、論理が飛びまくっているのも当然と言えば当然。(それでもなんか面白い話をしてた臭いしませんか?本人たちだけ?)


ここまで読んで、あーなるほど海旅、と納得できた方は、心底外遊びが好きなんじゃないかと。(そういう要素はそれなりに話の中にあると思うのですが、いかがでしょうか?)


いつものように長文お付き合いいただきありがとうございました。
一方的、個人的、公共性なしな内容ですが、そもそも個人ブログなのであしからず。

2013年12月14日土曜日

カヤッカーの体重とフェザークラフトカヤックのボリュームについての考察

晩秋の夜長と最近漕いでいないもどかしさのままにつれづれ思ったことを書き連ねましたので、興味ある方はおつきあいくださいませ。
(ちょっと長文です)

各フェザークラフトショップのカタログページ(例えばここ)を見ながらだとよりわかりやすいかもしれません。

*******

スラロームカヤック/カヌーに乗っている選手は、艇の動きに直結するため体重と艇のボリュームがマッチしているか、ということも皆(割と)シビアに考えて艇を選んでいます。

当然、ツーリング艇はそこまでこだわる必要はありませんが、大き過ぎる艇=吃水が下がっていない艇、は風に煽られやすい、小さ過ぎる艇=吃水が下がり沈んでいる艇、はバウが沈みやすく、荒天時に巡航速度が大きく下がるなど問題があるため、ちょっと気にしたほうが良いかも?と思い、見聞と私見をまとめてみました。
例によって、対象はフェザークラフトの艇です。

フェザークラフトのカタログには、最大積載量が表示されています。
以下、抜粋。
なお、条件設定がややこしくなるので、2人艇とセーリングは想定から除きます。

K-Light 136kg
Kurrent 136kg
Kahuna 136kg
Wisper&WisperXP 136kg
Khatsalano 136kg
Khatsalano-S 145kg
K-1 175kg
Heron 185kg

この数字は、フェザークラフトのwebページによると、(今は載っていないようですが)コクピット横のボトム部分(黒い部分)が、水面上2.5cmになるパドラー&荷物の重さ、とのこと。(その重量がK-LightとKahunaが同じってのは、割とテキトーな香りがしますが。)つまり、この数値が表しているのは結構ギリギリまで荷物を積み込んでいる状態の積載物&者です。
コクピット横のボトム部分(黒い部分)が、水面上2.5cmというと、静水ではバウからスターンまでのボトムがきっちり水面下に沈んでいて、ちょっとでも艇を傾けたらコクピット脇のデッキ部分に水が乗ってしまうような状態です。
この状態でちょっとでも波があるような水面を漕ぐのはちょっとな〜、と思うような沈みっぷりでしょう。それに、これだけ沈んでいると、漕ぎ出しの1パドル目がかなり重いはず。

では、浮きすぎず沈み過ぎず、快適に漕げる荷物+人の積載量は?となるわけですが、自分で漕いだり人の漕いでいる姿をみて想像すると、こんな感じ。

K-Light 50〜85kg
Kurrent  50〜85kg
Kahuna  60〜95kg
Wisper&WisperXP  60〜100kg
Khatsalano  70〜100kg
Khatsalano-S  70〜110kg
K-1  80〜145?kg
Heron  90〜155?kg

最大積載量からずいぶん減っている艇もありますが、それは、主に短めの艇です。短い=水線長の短い艇は縦方向の揺れが激しくなり(ピッチング)、バウが波に刺さってしまうためです。(それを利用して短い&バウスターンのボリュームを落とし気味にしているのが、バウ&スターンを沈める必要があるフリースタイル競技用の艇です。)
また、長い艇の中でもKhatsalanoについては、沈みがちだとスターンデッキに水を被って傾けがよりシビアになります。

これをみると、体重80kgのパドラーがK-Lightでキャンプツーリングするのは厳しそう、というのもわかるし、体重50kgのパドラーがK-1でデイツアーするのは、横風向かい風でも吹いたら大変な事になりそう、というのも見て取れます。

後は、どんなシチュエーションでどれくらいの荷物があるのか?ということですが、季節と志向にかなり左右されます。
キャンプツーリング一つを取っても、ボトルワインや一升瓶を持って来る方から、ウルトラライトな装備の方までいらっしゃるので、一概には言えません。
ざっくり基準をだすと、カヤックツーリングで1泊2日〜2泊3日なら、水酒食料込みで15〜30kg位ではないでしょうか?そして、日帰りだと10〜15kg程度でしょうか。

これで、自分+荷物の基準が出たので、だいたいどれくらいの大きさの艇が自分にジャストフィットなのか、想像できませんか?

以上、試乗したり試乗しているユーザーさんを見て、なんかでかいな〜、や、なんかちいさいな〜、と思っていたことを文章にしてみました。
たたき台がでたところで、艇のカタチによる特性+ボリュームの大小での性能の違いについて、来シーズンは熱く語りましょう!!(と、一人でリキむ)

ちなみにワタクシは男性にしては軽量なので、スラローム選手時代から常にボリュームリッチな状態で艇に乗っております。
フェザークラフトの艇だと、K-Lightがジャストフィット、Khatsalanoにキャンプ道具を積んでもまだ少し浮き気味といった感じです。
よって、漕ぎだけを考えて艇のサイズをえられば、Whisperまででしょうか?
計算上、K-1やHeronだと荷物を50kgくらい積まないと落ち着かない感じです。

将来的にはシングルでのセーリング+漕ぎのハイブリット旅にいけるような艇を欲しいな〜、なんて思っているのですが(何艇手元に持ったら気が済むのでしょうか??やめないと思うけど誰か止めて。)、漕ぐときはセーリングキットを分解して積載するとして(多分重さは15〜20kgくらい)、そうなると選ぶべき艇は・・・
などと、秋の夜長のシミュレーションという名の妄想はつきないのでありました。


最後までお付き合いありがとうございます。
ここまで読んでいただいたアナタとは、艇のボリュームの大小での性能の違いについて、来シーズンに熱く語り合い、飲み明かせる気がします!!


2013年12月1日日曜日

かぬちの技

友人の刀鍛冶の個展を覗いてきました。
(主催:草の根交流文化サロンinSEINO
フライヤー表

フライヤー裏
フライヤーによると、「かぬち」とは、「金打ち」が音変化で、金属を打ち鍛えること、打ち鍛える人、とのことです。

展示会場は、昔ながらの雑貨屋然とした古民家(兼店舗)の一角。


お邪魔すると、経歴が飾ってありました。
ってか、初耳(初見?)もの多し。
普段仕事姿は目にしないし、呑んで話すとダメ人間っぷりを強調してくるので計りづらいのですが、本業にはものすごく真摯に向き合っています。職人ですからね。

刀というより、鍛冶物一般の展示でした。
本人曰く、「刀を展示すると、刀関係者のみになってしまい、間口が狭まるから。」
こんなユーモラスな展示もありました。
いつもの飲み会の姿そのものでは?
道を挟んだ小屋では、鍛冶体験ワークショップを開催していました。
参加者は各々、鉄で小物を作っています。

職人の指導を仰ぎながら、皆さん一心不乱に鎚を振っています。
時折、「お〜、そう来ましたか〜」なんて声が聞こえます。
万事に言えることですが、初めての方は時折毎日やっている側が思いつかないアイデアを出してくることがあるので、そういう物に触れたりしているのでしょう。

七輪にドライヤーの風を当てた火に、コンクリートブロックを下敷きに金槌で大きめのペンチ挟んだ赤く熱した釘でも簡単な鍛冶場になります。
そんなんでできるのに、普通はやらない、というところに普通の人から見た非日常感があるのかもしれません。

この後、トーク+交流会があったようですが、早々に失礼してきました。
理由は簡単で、子守りがてら連れて行った息子が飽き始めたからです〜

交流会は個人的にしてもらうことにしましょう。
そして、多分こんな感じの交流会になるのでは?
友、遠方でもないけど来る