秋の琵琶湖で、キャンプがてら開発中のセーリングキットのテストをしてきました。
既存のキットの改良と、新規方式を並行して進めているうえ、限られたお休みで最大限の予定を詰め込んでしまったので、のんびりキャンプ…という感じではなくなってしまいましたが、得るものがある週末になりました。
さて、そもそもなんでそんなことを、といったところの説明から書いていこうと思います。
例によって、長―――い記事になりますので、お付き合いのほどよろしくお願いします。
5年ほどフェザークラフトのセーリングキット+サバニセールを愛用しています。
最近は頻度は下がっていますが、何度も乗っているうちに、まだまだ改善できる点があるように感じています。
・仕組みが大がかり・重い
・道具への依存度が高く、破損時の被害、使用できない場合(向かい風とか)の負荷が大きい
・安定し過ぎていて、カヤック的な要素が薄れている
確かに、その気になれば10ノット(18km/hくらい)のスピードは出せる、なかなか気分爽快なセーリングが楽しめるシステムですが、道具への負担も大きく、破損のリスクが高いシステムであることもわかってきています。
実際、私のキットのマストも風の力で曲がってしまいましたし、アマ(アウトリガーの支柱)が折れて航行不能になった事例も聞いています。
そもそものフェザークラフトが製造終了してしまったので、どこまでこのシステムに発展性があるかはわかりませんが、
・脱着を容易にし、その日のコンディションと気分で使用・不使用を決められるようにしたい
・乗り手が操船を今のキット以上に楽しめるよう、サバニ的な要素を強めに出したい
・安全性確保のため、トップスピードは漕ぐ2倍+αくらい(5~7ノット、時速9~13km/h)までに下げたい
という方向でオリジナルのキットをつくってみたいと考えています。
まあ、いきなり全部は難しいので、まずは既存のキットの改良版から。
まずは、一番問題を引き起こしている根源と思われる、マストの改良。
取り付け用アダプターなどを新規製作し、ウィンドサーフィンのCFRP製ものに換装しました。
ぱっと見変わりません。 |
よーく見ると、途中からマストが黒い |
ほどよく風が吹いて、テスト日和。 |
これが、テストレベルでは結構イイ!のです。
今後のテストで不都合なければ、セールキットお持ちの方にはマジでお勧めしたいレベルです。
なにがイイ!!かというと、
マストがしなるようになったため、突風発生時やワイルドジャイブを起こしてしまった時の艇の姿勢の変化がマイルドになりました。
急な力が加わらないということは、急な姿勢の変化も減るので、操船しやすくなるということでもあります。
パドラーにとっては、「急に風にもっていかれる」感じがなくなり、安心感がアップ。
まあ、良くも悪くも風の変化に対する感度は少し下がります。
感度が高ければよいかというと、ヨットやウィンドサーフィンではないので、ほどよい按配の感度のほうが扱いやすいと思います。
艇にとっても、急激に力が加わることが無くなるので、破損リスクが減少すると考えています。
特にテーパーがかかっていて先端からしなるのが良いようです。
根元からトップまで同径チューブを使用したフェザークラフトのマストは根元からしなっていたので…
(なので、デッキのすぐ上の部分で金属疲労が起きる)
また、マストが軽量(感触としては1/3程度の重さ、片手で持てる)になったため、
・振動の軽減(金属疲労⇒破断の原因。重いものがついていると、艇の動きに追従できない分が振動になる。)
・艇の安定(テコの原理で、重いものが高い位置についていると不安定になる。マストの高さは4mくらいあるので…)
といった効果もありました。
軽いのは良いですが、仕舞寸法が今のキットよりも大きいのはデメリットかな…(マストによりますが今は170cmくらい)
しかし、継ぎを増やすとマストがしならなくなるので、これは仕方がありません。
さてさて、どこまでメリットが出せるのか、本当にデメリットはないのか、といった部分についてはこれから実際のツーリングでテストを重ねて検証していきます。
そして、真打ちのオリジナルシステム。
アマ・アカのセット(アウトリガーと支柱)は廃止し、簡易アウトリガーを艇の横に取り付けます。
ちょうど、サバニに竹の束を括り付けているのと同じです。
アマ・アカが無いとシルエットもスッキリ |
既製品のアウトリガー。なかなか具合よし。 |
前から見たところ。なかなかシャープな形状。 |
帆は小さめです。 |
センターボードもなくなりますが、これはパドラーがパドルやエークを風下側に差し込むことで代用。
パドルやエークのほうが既存のセンターボードよりも深く刺せるので、効果が出やすいかもしれません。
何よりも、キットの重さ自体が半分以下、
セットアップ時間も半分以下。
この手軽さは大きなメリットです。
しかし、仕舞寸法はマストが長いので長尺になります。
なんだかすごいものを開発しているかのように書いていますが、実のところ、アウトリガーもマストも市販品の組み合わせです。
結果は…
!!
!!
風が弱くなってしまったので正直よくわかりませんでした!!
穏やかな夕方が過ごせてよかったのですが、テストとしては残念です。
が、無風にはならなかったので、収穫はありました。
・アウトリガーは効果があるが、完全に依存はできない(無理すると沈する予感)
・アウトリガーの位置を工夫しないと、大きな抵抗になる(エアスポンソンの真横がよさそう)
・全体的な取り回しは非常にラク
こちらもまだまだテストを続けます。
既存のキットは不要で取り付けられるので、
マストの穴が空いているフェザークラフト艇をお持ちの方は、
今セールキットを持っていない方も引き続き次回の報告をご期待ください!
※注意※
今のところ、ノウハウの提供等は行っていきますが、完成品キットとしての販売予定はありませんのでご注意ください。
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